2005年09月29日
有限会社と株式会社は、運営上どう違うの?
皆様は有限会社か株式会社のどちらかで会社の設立をお考えでしょう。合名会社、合資会社の方は少ないかと思いますので、有限会社と株式会社の二種類の会社の違いについて説明します。
最低資本金について
まず、有限会社が最低資本金300万円、株式会社が1000万円必要です。実務としてはこの資本金に相当する金額を銀行に登記の間中預け「保管証明証」の発行をうることによって証明します。
また、平成15年2月より確認会社(1円会社)というしくみができ、有限会社・株式会社ともこの最低資本金に達さなくても会社が設立できるようになりました。例えば10万円の確認有限会社とか、同じく10万円の確認株式会社とかができるようになりました。この方法では有限会社と株式会社の資本金は関係ないように思えますが、300万円以上になった時の扱いが異なります。こちらはあくまで「特例」扱いなので、有限会社は300万円未満で、株式会社は1000万円未満の資本金に設定する必要があります。そこで300万円の株式会社はつくれますが、300万円の有限会社はつくれないのです。
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役員について
登記面では、有限会社は取締役が一人でできますが、株式会社は取締役が最低3名、監査役が最低1名の合計4人必要です。また、株式会社は最初の決算の後とその後は取締役は2年、監査役は4年に一度の役員変更登記が必要です。
手間がかからないという点では、一人の取締役だけでよく、しかも設立後もなんら登記の必要がない有限会社がいいようですね。
税金について
法人に関する税金は資本金1000万以下なら、有限会社でも株式会社でも税額に差異はありません。資本金で区分されているからです。ただ、消費税だけはあります。株式会社の場合、当初2年間は消費税の免税事業者にはなれません。有限会社なら2年間は免税になりますね。これは有限会社のメリットですよね。
株式会社のメリットについて
上記をまとめていくと、有限会社の方が簡単に設立でき運営面でも手間がかからないという面ではメリットがあるようですね。ここでは株式会社のメリットについてふれておきましょう。やはり株式会社の大きなメリットは営業面といえるでしょう。有限会社はどうしても株式会社に比べたら「小さな会社」のイメージがあります。有限会社を作られる方は、会社名よりも技術を、デザイナーやライター、ソフトウエア技術者や店舗の経営の方が多いようです。反面、株式会社にされる方は、名刺や広告などで広く営業する場合に、信頼感が大きくて有利です。もちろん有限会社でも広く営業されている方はたくさんいらっしゃいますよね。ここに書いたことはあくまでも現在の見方の一つです。
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年収がいくら以上なら会社を作った方が得か?
個人事業で年収がいくら以上なら会社を作った方が得でしょうか。
この質問に関しては具体的な数字があります。まず第一段階の話として、個人の所得税と法人税の税率を単純に比較すれば、年収900万円がひとつの分岐点になります。つまり個人の税率(所得税プラス地方税)が、年収が上がるごとに累進で高くなっていて、ある時点で法人税率を超えることになります。それが900万円です。
ただ個人事業を始めてすぐにそんなに収入を出している方は少ないかもしれません。経費を少ない抑えようとするだけでなく、収入も低くして所得税、地方税、社会保険費を抑えようとするのが普通の考えでしょう。 実際は会社を設立して低い収入でやっている方がほどんどでしょう。900万円というのはあくまで法人税率と個人税率の比較です。
もっといえば、この900万という数字は、あくまで法人税を払う場合です。実質が個人営業と変わらないような会社なら、法人税は高いので払わないことにして、会社はとんとんか少し赤字にして、その分を全て役員の方の役員報酬に回しているのです。つまり「個人税対個人税」の税額同志がほんとうの比較になります。これが次の段階の話です。
すると、法人の役員報酬には給与所得控除がありますから、かなり税金は違ってきます。ここでその他の条件は考えずに税金を比較してみましょう。
「個人事業主にかかる税額と法人役員報酬にかかる
税額の比較(地方税プラス国税)」
年収 個人事業主税額 法人役員報酬税額
900万円 169万1000円 105万円
600万円 100万4000円 58万8140円
300万円 41万円 28万8千円
200万円 30万円 18万3千円
どうですか?結構違っていますね。上の表の「個人事業主」は個人事業にかかる各種控除を無視しています。たとえば55万円の青色申告控除を使うと、8万3千円くらいは個人に有利になりますが、それでも結構、低い年収でも役員報酬にしたらメリットが出るようですね。かなり年収の低い状態でも法人が得になるということですよ。
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法人成りをするメリットとデメリットは何か?
メリットは大きく7つあります
第1に、一般的に、法人のほうが対外信用力が高まります。つまり新規取引時のネームバリューもそうですし、借利入れの時の点数も個人よりはアップします。借り入れの時のメリットですね。これは大きいですね。個人でお金借りるのはやはり大変ですね。
第2に、個人と法人は税率構造が違うので、収入によっては、税務上有利な設定が可能です。
第3に法人には「給与所得控除」があります。事業主であると同時に、サラリーマンと同様の経費控除が受けられます。現在個人事業主の方は55万円の青色申告控除を受けていると思いますが、この控除よりはるかに大きき控除が法人なりでは得られます。この控除があまりにも大きいので、なるたけ税金を取りたい政府は、いつも税制改革論議で、この控除を縮小しようとしているのです。でも多数派のサラリーマンを敵に回すので、なかなか進まないようです。法人化したら、恩恵にあずかれますよ。
また、会社になっても、現在個人事業で経費にしている部分は同じように経費にできます。さらに、プラスしてこの「給与所得控除」が受けられるようになるのです。小さくした所得をさらに小さくできるのです。日本の累進税率を考えたら、いかにその意味が大きいかおわかりでしょう。結構なメリットですよね。
第4に、所得を分散できます。家族に報酬を分けたりすることが容易です。
第5に、青色欠損金を5年間控除できます。個人は3年間です。青色欠損金は、赤字が出てもその赤字を翌期に繰り越せるということで、スタートアップの会社にはとても有利な制度です。
どちらも、個人と同様の制度が、法人ではもっと有利になってるわけですね。さらにあらにメリットがあります。
第6に、減価償却費の計上が任意でできます。減価償却費は、30万円以上の資産を買った場合、多年度に分けて経費として計上する制度で、法人は計上しないこともできます。つまり黒字を出したくても赤字が出そうなら、計上しない手があります。個人は強制ですから、選択はできません。
黒字にしたら税金がかかるのに、わざわざ黒字決算にするということは、資金をどこかから借入れる場合とかが多いようですね。
第7に、役員でも退職金が支給できます。一般に退職金の税率は優遇されています。
たとえば会社を作って10年したら、退職金から400万円を控除できて、税金のかかる計算のもととなる金額も半分になります。日本の税制は、特に退職金を優遇しているのですよ。例えば、さらにもうひとつ会社を作って、1つ目の会社を妻に任せて、自分は新会社で仕事をしても退職になるのです。
デメリットは大きく6つあります
第1に設立に費用、手間がかかります。
第2に会社の維持に、地方税として最低年間7万円かかります。個人事業ではかかりません。
第3に維持、運営に個人よりも手間、手続が増えます。たとえば記帳は複式簿記できっちりとする必要があります。複式簿記までしていれば、あと少しの努力だと思います。決算報告書などは会計ソフトでできます。
第4に株式会社なら2年ごとの取締役変更、4年ごとに監査役変更が必要です。また会社の重要な決定事項は、商法に基づいて株主総会や取締役会を開く必要があります。有限会社ならその必要はないです。
第5に確認会社(1円会社)は5年以内に最低資本金にするために増資をする必要があります。つまり会社設立時にはいくらの資本金でも(1円でも)会社は設立できるのですが、有限会社は300万円、株式会社は1000万円に増資する必要がありますね。
第6に交際費の経費算入に限度枠があります。法人の場合は資本金5000万以下なら年400万円までで、その9割が交際費に認められます。個人なら限度枠がありませんが、事業のための交際費か個人的な飲み食いかをかっちりと区別する必要があります。交際費の多い個人事業の方は、400万円の枠なんか簡単に突破するということで、わざと法人化しない人もいますね。
このように法人なり(会社設立)の大きなメリットとデメリットをあげてみました。
利益がでてくれば会社の形態を選択したほうがメリットが大きいと私どもは思っています。デメリットも私ども行政書士や税理士がカバーできる範囲も多いです。私どものお客様は皆様はある程度になるまでは、売り上げを上げることに専念する方が多いようです。
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以上のコンテンツは行政書士 小笠原事務所様の許可を経て転載したものです。
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