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オレンジオイルを作ろう!



オレンジオイルは、含有するα-リモネンという主成分が汚れを落とす
洗浄能力や脂肪分解能力に長けている為、
レモンオイルとともに古くは弦楽器などのクリーニングに用いられてきました。

近年ではより強力を謳い文句とする洗剤にも配合されたり、
その高い溶解能力を買われて、ラッカーの代わりに木製家具のフィニッシュに
使用されたり、模型や塗装等に使われるシンナーなどの溶剤の代用として
使用されるなど幅広い用途に対応しています。
シンナーなどの溶剤に比べれば天然成分なので身体にも優しく、
頼もしい万能オイルといえるでしょう。
勿論、アロマオイルとして利用しても優秀なものであります。

さて今回このオレンジオイルを作るにあたって、当たり前のことではありますが、
まずオレンジを用意してください。
皆さんもご存知かと思いますが、蜜柑等の柑橘系は剥く時にベタベタして
嫌な感触がありますよね。
あのオイリーな部分がオレンジオイル等の油脂なのです。

オレンジはネーブル・伊予柑・はっさく・金柑・甘夏などどれでも構いませんが、
大きいものの方がよりベタベタしており、オレンジオイルを抽出し易いと云えるでしょう。
但し、今回はより親しみ易くお手頃な普通のみかんで実験してみます。
また、大きな柑橘系にはワックスが塗布している場合も多く、
不純物が混入されないというメリットもあります。







なんてことのない普通のみかんです。
ひとまず皮を剥きましょう。
そして中身はとりあえず食べてしまってください。

この皮をパリパリになるまで太陽光で乾燥させます。
今回は車のダッシュボード上という、一番日の光で熱くなる部分に干しましたが、
皆さんはご自由に一番日光が当たるところを見つけて干して下さい。

今回の実験ではパリパリになるまで真夏の日光で一週間かかりました。
冬ですと、もっと時間が掛かるかも知れません。
基本的に夜もそのまま置きっ放しで構いませんが、皮を満遍なく乾燥させたいので、
太陽に当たってない部分がありましたら、たまに裏返しにしてみて下さい。

そして乾燥し切った『その時』がやってきました。
手で掴んだらパラパラと粉末になる感覚があればOKです。
ビニール袋か無ければコンビニの袋で結構ですので、
乾燥し切ったこの皮をその袋に入れて閉じましょう。

そして握力で思いっきり潰しましょう。
満遍なく潰して完全に粉末化したら、次の段階へ進みます。







無水エタノール(無ければ消毒用エタノールでも可)とビーカーを用意します。
無い場合、96度位のスピリタス(ロシア産ウォッカ)のような
アルコール度数が70度以上のお酒でも構いません。




ビーカーは熱湯で煮沸後に消毒用エタノールで充分殺菌します。
そしてビーカーが乾燥してから、エタノールをビーカーに適量入れます。
この時、エタノールを入れ過ぎないようにして下さい。

次に袋から『みかんの皮の粉末』を紙(コピー紙で構いません)を使って
滑らせるようにビーカーへ落としていきます。
今回はみかん一個分のみの皮と少量ですが、
この時エタノールに満遍なく浸るように注意しましょう。






ビーカーのエタノールに沈んだ蜜柑皮の粉末はそのままサランラップで密閉して、
日の当たらない涼しく湿気の少ないベストポジションに一週間ほど放置しておきます。
今回はビーカーで実験を行いましたが、ガラスで出来た褐色の遮光瓶があれば
さらにベターですね。

さて一週間が経ちました。どうなったか見てみたいですね。


おっ、ちゃんと夏蜜柑のマーマレードのような綺麗なオレンジ色がついてます。
よって完成です。
ここでスプレー可能な小容器を用意して下さい。
オレンジオイルはこれからゆっくりとこの容器に移し替えることにします。










完成するとこのようになります。
残ったオイルは詰め替え用として蓋のあるガラスや陶器の瓶に保管しておいて下さい。




ついに完成!! 
早速効果を試すことに。




スプレーで汚れ部分に直接かけても良いのですが、
ティッシュに染み込ませて使う方法がラクでしょう。
なかなか落ちないようなテーブルや椅子等の家具や冷蔵庫の汚れまでも
なんと簡単に一拭きで落とすことが出来ました。

メタリックな塗装の上に直接スプレーしてみると、
なんと皮膜が落ちていくではありませんか、シンナー並みの溶解力です。

このオレンジオイルにはエタノールが入っていますが、
さらに無水エタノールや消毒用エタノールで5倍位に薄めますと、
ルーム・フレグランスや消臭剤としても使えます。

この香りは嫌いな方が殆どいないのではないでしょうか?
とても爽やかな良い香りです。
また、柑橘系の香りは動物が嫌がる匂いでもありますので、
犬猫忌避スプレーとしても利用可能です。








そして楽器をお持ちの方でしたら、
弾き込んだ愛器(エレキベース)の指板にも使ってみましょう。
ティッシュに染み込ませて拭いてみましたが、結構汚れているものなのですね。
弦楽器をプレイする方ならお分かりでしょうが、
この木目に手指の油分がこびり付いて弾く度に嫌な気分になるものです。
楽器屋さんでオレンジオイルやレモンオイルを簡単に手に入れることが出来ますが、
結構お値段が張るので、この自家製の即席オレンジオイルは
困った時の救世主となるでしょう。

また、汚れを拭いた跡に薄くのばしておけば、
指板を滑らかにするスムーザーとしても使えます。

このオレンジオイルは浸透性がひじょうに強いので、ギター(エレキギター)などの木材部分に用いると、使えば使う程、楽器そのものの『鳴り』が増すという定説もあります。

とにかくどんなモノにもどんな汚れにも対応できるスグレものです。
一家に一つはご用意したいところであります。






日付:  2005/4/7
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