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2005年09月29日
美女と香りの関係
かぐわしい香りと美女は、どうやら切っても切り離せない関係にあったようです。ちょっと奮発した香水を付けるとき、あなたも、いつもより美人になったような気持ちになったりしませんか?
香りと美女、と言えばまず思いつくのは古代エジプト最後の女王クレオパトラ。
彼女は実に様々な香りに関する逸話を持っています。「クレオパトラの鼻があと3㎝低ければ歴史は変わっていたかもしれない」とよく言われますが、
クレオパトラが今もなお世界三大美女の筆頭として讃えられるのは、男心をくすぐる、そのかぐわしさが大きな魅力の一つだったのだと、私は思っています。
クレオパトラは香りを愛し、高価な麝香、薔薇、シベット、龍涎香などを惜しげもなく日々の生活に取り入れていたのです。
香水の風呂に身を浸し、香油でマッサージ、そして仕上げに体中に香料を擦り込む――まるで、毎日超高級エステサロンに通っているかのような豪華さは、さすが女王。香料代だけで今の日本円にして20万円以上と聞くと、羨ましいを通り越して、まさに別世界、といったところでしょうか。
それでは東洋の美女は? と言えば楊貴妃ですね。彼女もまた、香りを大変に愛していました。楊貴妃が建てた沈香亭は、その名の通り、柱に沈香と白檀を使っていました。
沈香というのは別名栴檀。白檀が非常に高価なものであることをご存じの方も多いと思いますが、沈香もまた、その等級に応じて天井知らずの値がつく香木で、その最高級品「蘭奢待」は今も正倉院に大切に保管されています。
そんな高価な香木を、そのまま柱に使い、更に壁には麝香、乳香などの高価な香料を塗り込めた沈香亭は、何と牡丹を観賞するためだけに建てられたというから驚きです。牡丹の花期は4月半ばから5月半ばの約1ヶ月。1年の内のほんの1ヶ月の牡丹の盛りに、花の女王と呼ばれた牡丹を愛でながら、沈香亭の香りに酔う――――なんとも贅沢な話です。
現代にも、香りにまつわる逸話を持つ美女がいました。マリリン・モンローのシャネルの5番の逸話はあまりにも有名なので、モンローとは全く違うタイプの美女、銀幕の妖精と呼ばれたオードリー・ヘプバーンの逸話をご披露しましょう。
「麗しのサブリナ」で、まだ新人女優だったオードリーはジバンシィのデザインした衣装を見事に着こなしました。
それがきっかけで親交を持ったオードリーとジバンシィ。ある時ジバンシィはオードリーのためだけに香水を作りました。ところが、それがあまりにも改心の出来だったので、ジバンシィはその香水を世に出したくなってしまったのです。
おそるおそるこの香水を市販しても良いかと尋ねたジバンシィに、オードリーは「ダメ!」と即答。けれど、結局市販するに至ったその香水を、ジバンシィは「禁断」の意味を持つ「ランテルディ」と名付けました。
この逸話に限らず、何となく、美女と神秘的な香りが結びつくと禁断のイメージがするのは、その美しさゆえなのかもしれません。
投稿者 asidru : 2005年09月29日 13:36