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2005年09月29日

精油の抽出法

 精油は植物から抽出されますが、一体誰がその方法をあみ出したのでしょう? それは10世紀のペルシャの錬金術師アブ・アリ・イブン・シーナ(アヴィセンナ)です。

錬金術と言えば、何だかオカルト的な、あやしげな響きですね。中には、「あ、今年映画になった『鋼の錬金術師』に出てくるアレでしょ?」と思う人もいるかもしれません。
 でも、そんなイメージと反して、昔の錬金術は医学と重なる部分がとても多いものでした。私のプロフィールのページでカドゥケウスの杖が医療と薬学のシンボルであることを説明していますが、実はこの杖は錬金術のシンボルでもあるのです。

 杖の元々の持ち主であるヘルメスが、ローマ神話ではマーキュリーという名であり、錬金術の神であること、また、エジプトのトート神や錬金術の始祖ヘルメス・トリスメギトスと同一視されていたことも興味深いところです。
 前述の『鋼の錬金術師』(のTV版)でも主人公が「錬金術は科学だ!」と言い切っていたりしますが、実際の処、当時の錬金術というのは全ての科学分野とリンクしていたといっても過言ではないでしょう。

 そして、錬金術で有名なパラケルススが医師でもあったように、アヴィセンナもまた、医師の側面を持っていました。
 アヴィセンナが完成させた水蒸気蒸留法で抽出された精油を、シェイクスピアは「アラビアの香水」と呼んで讃えました。
 それ以前の時代は、植物を水に浸したり、植物油に漬けた香油として用いていました。彼が完成させた水蒸気蒸留法は、まさにアロマテラピーの歴史のエポック・メイキングと言えます。

 さあ、具体的な精油の精製法=香りの成分が解け合った精油のみを植物から取り出す方法を説明していきましょう。

投稿者 asidru : 2005年09月29日 13:41

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