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2005年09月29日
精油(エッセンシャルオイル)の作用
それでは、精油(エッセンシャルオイル)はどういうメカニズムで私たちに作用しているのでしょう?
精油(エッセンシャルオイル)が私たちの体に作用するのには、二つのルートがあります。ひとつは、鼻から直接脳に作用する「嗅覚」としてのルート。もう一つは、皮膚から吸収されて体内をめぐるルートです。
・鼻からのルート
先ほど、匂いの元の物質が鼻の粘膜にくっついて香りを感じるというお話をしましたね。それを、もっと詳しく説明していきましょう。
鼻の粘膜には、匂いを感じる受容体があります。この受容体は、鍵と鍵穴の関係のように、決まった物質にしか反応しません。人間の場合、匂いの受容体は350種類前後だと言われています。
「何か、思ってたより少ないみたい」
そうですね。世の中にはたくさんの匂いが満ちています。食べ物の匂い、植物の匂い、動物の匂い、薬品の匂い……数え上げればきりがありません。でも、そのひとつひとつの匂いも、分析してみれば、いくつかの匂いの物質の組み合わせであることがわかります。
受容体は350でも、組み合わせが変われば感じる匂いも変わります。350の自由な組み合わせは一体何種類あるのでしょう? そう考えてみると、最初に聞いた印象と違い、350の受容体で人は数え切れないほどの匂いを感じることができるのだということがおわかりいただけると思います。
さて、匂いの物質が受容体と結びつくと、インパルス(電気信号)が生まれて、嗅覚神経から脳へ作用していきます。嗅脳と呼ばれた大脳辺縁系を経て、ルートはまた二つに分かれます。ひとつは海馬や大脳に行くルート。もう一つは視床下部から自律神経系、免疫系、内分泌系へと分かれるルートです。
・皮膚からのルート
精油(エッセンシャルオイル)をキャリアオイルで薄めてマッサージしたり、クリームにして塗ったりすると、肌から精油の成分が浸透します。薬やサプリメントを内服すると、最初に肝臓を通ったときに、多くが代謝されて排泄されてしまいます(これを初回通過効果と言います)。でも、皮膚からの吸収は初回通過効果をウケないので、とても効率よく、血管から各臓器へと循環していきます。
もちろん、皮膚そのものに対する直接的な効果が非常に大きいことはいうまでもありません。
投稿者 asidru : 2005年09月29日 13:45