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2005年09月29日
精油の成分と効果
今回は、精油に含まれる主な成分とその効果についてお話ししていきます。
精油には、様々な効果のある成分がそれぞれに含まれていて、それは、全て天然のものです。
そして、天然=自然界に存在するものは、人に多くの恩恵をもたらしますが、いいことばかりではありません。大自然は、人間の都合の良いようにだけできているのではないのです。
私たちが口にしているものには全て致死量がある、と言ったらきっと皆さんはとても驚かれるでしょう。極端な例として良く挙げられるのが「水」です。
人間は水がなければ生きていけません。けれど、水も多く取りすぎると死に至るのです。「酸素」もそうです。空気中の酸素の割合があまり多くなると人間は生きていくことができなくなってしまいます。
ですから、自然から十分な恩恵を受けようとするなら、その危険性もまた、正しく知り、先人たちが蓄えた知恵を活かさねばなりません。
精油にも同じことが言えます。これからお話しすることは少し難しいかもしれませんが、アロマテラピーを通して、その効果を最大限に享受し、副作用や危険を避けるために、とても重要なことですので、じっくりと読んでみて下さい。
・モノテルペン炭化水素類
ほとんどの精油に含まれている成分で、特に柑橘類に多く含まれます。酸素に触れて分解し、それによって殺菌作用が起こります。
殺菌、鎮痛作用などの作用があります。
例)テルピネン、サビネン、ピネン、リモネンなど
・セスキテルペン炭化水素
消炎作用が特徴。特に、皮膚粘膜に対する消炎作用が有名で、クローブやジャーマンカモミールなどに含まれています。
うがい薬や胃の薬としてよく用いられる水溶性アズレンも、セスキテルペン炭化水素のひとつです。
例)カマズレン、エレメン、アズレンなど
●アルコール
アルコールは私たちの生活中でもなじみの深い成分のひとつです。構造に(-OH)が含まれるのが特徴です。
●モノテルペンアルコール類
強い殺菌作用、抗真菌作用を持ち、ラベンダー、ペパーミントなどに含まれます。
例)ゼラニオール、シトロネロール、メントールなど
●セスキテルペンアルコール類
強い消炎作用が特徴が特徴です。その他にも抗アレルギー、消炎作用、ホルモン調整作用など、多くの作用があります。
ジャーマンカモミール、クラリセージ、サンダルウッドなどに含まれています。
例)グロブロール、ネロリドール、セドロールなど
●エステル類
精油中のアルコールの一部が酸と反応して、エステル化合物と水に変化します。
酸 + アルコール → エステル + 水
構造に(-OCOC-)または(-COOC-)が入っているのが特徴です。
中枢神経系の働きを抑制することによって、鎮静作用、抗けいれん作用が発現します。その他にも消炎作用、抗ウィルス作用があります。ラベンダー、プチグレン、クラリセージなどに多く含まれます。
例) 酢酸リナリル、安息香酸ベンジル、ラバンデュリルなど
●オキサイド類
代表的な成分に1,8シネオールがあります。去痰作用があり、呼吸器系の感染症に有効な他、防腐作用もあります。高温・多湿に弱く、酸化しやすいなど変化しやすく、また皮膚刺激性もあるので、取り扱い・保存には注意しましょう。
ユーカリ、ラバンサラ、ニアウリなどに含まれます。
例)1,8シネオール、ビサボロールオキサイドなど
・フェノール類
殺菌作用、免疫力向上作用があります。
刺激性があり、長期使用すると肝障害になる恐れがありますので、使用量・使用期間など取り扱いには注意して下さい。また、乳児、妊婦への使用は避けて下さい。
タイム、オレガノ、クローブなど、料理でよく使われる有名なハーブにも含まれています。
例)チモール、オイゲノール、trans-アネトールなど
●アルデヒド類
アルコールが脱水素酸化するとアルデヒドになります。お酒が体内でアセトアルデヒドになり、二日酔いの原因となるのは有名ですね。
エタノール→→アセトアルデヒド+水素
↑
アルコールデヒドロゲナーゼ
構造に(-CHO)が含まれているのが特徴です。
このアルデヒドにはアルコールとカンファーのちょうど間にあるような作用があります。消炎、殺菌、抗真菌、解熱、免疫刺激作用などがあります。
皮膚刺激性が強いので低濃度で使用するようにして下さい。また、不安定ですぐに化学変化を起こし、変質するので気をつけて冷暗所に保存して下さい。
メリッサ、レモングラスなどの主成分として含まれます。
例)バニリン、シトラール、ネロールなど。
●ケトン類
ケトンも、アルコールが酸化してできる物質のひとつです。構造に(=O)が入っているのが特徴です。
代表的作用は粘液溶解作用で、喉にしつこくからみつくねばねばとした痰を取るのにも役立ちます。その他、鎮痛、脂肪分解などがあります。
神経毒性があるため、量や使用期間に十分注意すること。乳児・妊婦、老人には使用しないようして下さい。
ただし、全てのケトン類がが危険なわけではありません。ユーカリ、ローズマリーは含有量が少ないため、副作用の心配はありません。
逆に要注意なのはヒソップ、セージ、ワームウッド、樟脳です。特に樟脳はカンファーの含有率が高く、また発ガン性、肝毒性のあるサフロールも含まれているため大変危険です。
カンファーの含有率が高い精油は特に使用量に注意するようにして下さい。
例)カンファー、ベルベノン、メントンなど
●ラクトン類
粘液溶解作用があり、ケトンと同じく神経毒性があります。
柑橘類に多く含まれ、日光に過敏に反応し、皮膚に炎症を起こす日光感作性があるので注意が必要です。
特に、ベルガモットに含まれるベルカプテン、クマリンはメラニン産生を遺伝子レベルで傷つけると言われています。
メラニンはシミやソバカスの原因として美容の敵のように言われることもありますが、紫外線から皮膚を守るという非常に重要な働きを持っています。
紫外線は人間が健康に生きていくために必要なものです。朝起きたとき、前の夜に多少夜更かししていても、朝の陽の光を浴びると、体内時間がリセットされて、夜になったら、きちんと眠くなってくれます。また、日光を十分に浴びていないと、カルシウム産生がうまくいきません。
そんな風に重要な紫外線ですが、最初にお話ししたとおり、自然のものは良いことばかりではないのです。
メラニン産生が阻害されると、紫外線による皮膚ガンの発ガン性が増大しますので、日中は直接肌につけないなど、注意して使用するようにして下さい。
例)ベルカプテン、クマリン、ジャスミンラクトン
投稿者 asidru : 2005年09月29日 13:48