笑顔…それは人の心を癒すことの出来る最も簡単で暖かい薬です。人に笑顔を向け自分も笑顔を向けられた時、人の心は大きく開き、目もイキイキとするものです。そうやって笑っているうちに心が柔らかくなると、体もリラックスして、いつも優しい心で居る事が出来るのです。笑顔は心と体に働きかけ私たちの健康を守ってくれているのです。つまり、笑う事は誰にでも出来るカンタンで楽しいエクササイズなのです。
ここ数年沸々と人気上昇している「笑うヨガ」をご存知ですか?
ニューヨークやロサンゼルスを初め、大都市で働く常にストレスに囲まれている人たちの間で話題の全く新しいタイプのヨガです。
多数のセレブたちもこのラフィングヨガの魅力にどっぷりと浸り、ストレスの無い、笑顔で一杯の日々を過ごしているのです。
私たち取材班も、その話題の笑うヨガの真相をこの目で確かめる為、笑うヨガの専門家であるGuru Yogi Ramesh師(グールー・ヨギ・ラメッシュ)の元を訪ねてみました!!
笑うヨガの師匠の元を訪ねてみる!
彼の神聖なる寺院とも言えるヨガの修行場は、パラマウント市にある小さなスタジオ。インドの音楽と匂いに包まれた独特な場所なのでした。神聖なのに堅苦しくなくて、とてもリラックスしたムードが漂っていました。
ラメッシュ師の生い立ち
ラメッシュ師は インド北部のラッコウ(Luckow)という 街の出身。
5才の時から本格的なヨガの修行を始め、ヨガを欧米にも広めるべく意思の元、1984年渡米。
後の1985年には、アメリカ人の間でのヨガへの認識を深める為に自分のヨガのテレビ番組を始めたのです。
最初はメインストリームな、基礎的なストレッチなどがメインのヨガを教えていたのですが、1998年ハリウッドの自宅にて突然“笑うヨガ”を広めよ、と天から告げられたそう。
喧噪と騒音にまみれて、人々が争いを起こしたり憎みあっていることに心を痛め、全ての人が心から楽しめて平和へ導けるヨガは無いだろうか、と考えた末にこのヨガに希望を託したのでした。
そもそも、笑うヨガ、すなわちヨガと笑いの融合は様々なアプローチで試みられていました。
精神をリラックスし、ストレッチや瞑想などを行う伝統的なヨガよりもカンタンで、且つ精神と体に従来のヨガ同様、またはそれ以上の効果の出るものを長年探し求めた医師マダン・カタリアによってラフターヨガがインドにて1995年に完成されました。
ラフターヨガは瞬く間に世界中に普及し、10年もした後にはアメリカだけでも2500以上のスタジオが開設され、25万人以上もの人々がこのラフターヨガを実践しているといわれています。
笑うヨガは古代から伝わるヨガとは異なり、長い年月を掛ける厳しい修行や無理なストレッチなどを要さないので、とても気軽に始められるし、各々で自分のスタイルを作り上げる事の出来る素晴らしいエクササイズなのです。
ラメッシュ師のハッピーヨガ!
ラメッシュ師の笑うヨガのスタイルは他の師たちが実践するものとは違うオリジナルのもので、細かい伝統的なものばかりを実践するのでは無く、私たちの生活と心身の密着した部分に働きかけ、体の内側から健康に、そして幸せになることを前提としたものなのです。
その例として、ラメッシュ師は笑うヨガのムーブメントを日々の生活に取り入れることを強く勧めるのです。
例えば、渋滞でイライラしている時なども、自分で変えられない苦境を悔やむより自分がいかに幸せでリラックス出来ているかを考えてみるのです。
「I’m happy, I’m relaxed♪」と唱えながら笑顔で笑ってみる。そうしているうちにイライラも飛んでゆき、落ち着いていられる訳です。
または、友達と電話や会話をしている時も、大切な相手を敬う気持ちを混めて笑顔で対応しとにかく笑うのです。そうしているうちに相手も緊張がほぐれて、素晴らしいコミュニケーションを取る事が出来るようです。このように、日常生活から笑うヨガを実践することによって自分も周りの人も気持ちよく幸せになれることから、彼は笑うヨガを“ハッピーヨガ”とも呼ぶのです。
スタジオなどでも、見知らぬ人同士が大笑いをする為に毎週欠かさずレッスンに多数の人々が訪れるのです。彼の元には約25人くらいの生徒がリラックスし、幸せになる為にクラスに通っているそうです。
生徒の層は基本的には女性の方が多いのですが年代は20代から60または70代までと、とても幅広いそう。
ラメッシュ師は生徒がストレスや病気を持って暗い顔をして彼の元を訪れるのに、レッスンを受ける事によって彼らの表情がとても明るくなっていくことに喜びを感じている、と私たちに嬉しそうに話してくれました。
「こうやって人と笑顔を分け合う事でみんな幸せになっていくんだよ。世の中の人々がもっとこの笑うヨガを実践していけば、世界がもっと幸せに満ちた平和なものになると、私は信じているんだ。」
とラメッシュ師は笑うヨガがもたらすであろう明るい将来を私たちに見せてくれました。
ここでヨガの授業「チャクラって何?」
ここで、ヨガを語る上でかならず出てくるチャクラについて、ちょっとお勉強。
メインストリームの伝統的ヨガでは、呼吸法、瞑想、そしてストレッチなどを用います。
心と体とそして全宇宙を繋ぐものとされていて体の部位にはそれぞれ違った方法のストレッチとそれに見合った効果があり、精神と体もそれぞれ違った部位に働き合っているのです。
それらの部位は“チャクラ”といわれ、生命エネルギーの出入り口、又はエネルギーセンターというもので精神と体、そして全宇宙を繋ぐ大切な部分だと考えられています。
ちなみに“チャクラ”とはサンスクリット語で輪とか、車輪という意味です。いわば人間を動かす車輪と言われることもあります。基本的にチャクラは7つあるとされていますが、その哲学などに寄っては8つまたは9つという意見もあります。ヨガの実践の際は、このチャクラを意識しながら行うと効果的だとされます。
ここでは一般的とされているチャクラについて紹介致します。
第一チャクラを示す色は赤で、根のチャクラ(ムーラーダーラ/基礎のチャクラ)とも呼ばれます。
尾底骨の下に存在し、生存のチャクラと呼ばれます。心身全てのバランス、協調性、恐れを司ります。物質的な次元に肉体を繋ぐ役目を果たすので、“存在しようとする意思”が自己主張のための回路として機能します。
つまり、人間が生きていく為に体を目覚めさせ動かすものです。生命が危機に瀕した時、体内にアドレナリンを大量に送り込み、生体反応を科学的に促進する役割を果たします。
第二チャクラはオレンジ色が関わり、生殖のチャクラ(スヴァーディシュターナ)と呼ばれます。
へその下辺りに存在し、性的そして創造的なエネルギーを司るチャクラです。生殖器を司り、守るのもここです。生殖器が人間が産まれる源を創る場所である為の故でしょう。
創造的な活力を得たい時、又は性的な不安や悲しみ、そして創造的な行き詰まりや問題を解決したいときにこのチャクラで瞑想を行なうと脳のクリエイティブな思考が活性化され、問題解決に導いてくれます。
第三チャクラは黄色がキーカラーで、太陽神経層のチャクラ(マニプーラ)です。
へその上に存在する本能的な感情の中枢を成すものです。
脳や肉体よりも速く、突然の悲劇や音がもたらす感情の激変や刺激に反応し、情緒面での識別能力を備えています。
つまり人間の本能を支配しているものです。感情の問題や、怒りや悲しみを癒すためには、このチャクラに効くストレッチなどを集中的に実践し、瞑想をすると問題解決の糸口が見つかったりします。
膵臓の内分泌せんに系に対応しているので、胃、肝臓、胆嚢、神経系を支配、司り、脊椎を中心に活動する垂直パワー流の上昇するエネルギーと下降するエネルギーとの融合点となるのです。
ストレスが溜まると胃が痛くなったりする理由はこういう心と体の繋がりに寄るものなのです。
日本の、“病は気から”という諺はまさにこのチャクラを表すものです。
第四チャクラは緑とピンク色に寄って彩られる、ハート、心臓のチャクラ(アナーハタ)です。
心臓の付近に存在する愛を司るチャクラであり、個人だけではなく、人類全体を愛するためのチャクラでもあるので、メインストリームのヨガでも笑うヨガでも大切なチャクラなのです。
愛情に関する問題 や自らを含めた世界全てへの愛を拡大する為にこのチャクラで瞑想をすると免疫システムを守るほか、感情的ストレスから解放し、愛情を表現したり自らを愛で満たすことが出来るのです。
第五チャクラはスカイ・ブルーで、喉のチャクラ(ヴィシッダ)です。
喉の付近に存在するコミュニケーションに関係するチャクラです。
自己表現やコミュニケーションを円滑にしたい時にこのチャクラで瞑想をすると思考と言語を繋ぐ能力を高め、言葉の魂を通して真実を表現する事が出来るのです。
人前で話す時に緊張して喉や器官がカラカラになり、上手く呼吸が出来なくなるのはコミュニケーションスキルと喉が繋がっているからなのです。
第六チャクラはとても精神的な部分で、神秘的な青紫色がこのチャクラを司ります。第三の目のチャクラ(アジューニャー)と呼ばれる部分です。額の中心に位置し、霊的な成長と意識の統合の中心とされます。
額に目があるのは、日本の幽霊でも存在しまずが、ヨガの哲学の中でも霊的(悪霊とかそういうものでなくて、あくまで精神的な霊、魂に通じるもののこと)なものが体と精神と全宇宙を繋ぎ、視覚化する大切な役割を果たしているのです。
また、裏部(額の内側)はその視覚化されたアイディアを実行する能力を司ります。望む現実の実現化を目指したい時にこのチャクラで瞑想すると良いといわれます。つまり、現実を元に、理想の現実を視覚化し理解することに寄って、その描かれた理想に近づくためのチャクラなのです。
そして最後の第七チャクラは、笑うヨガにも大きな影響を及ぼすであろう、すみれ色で示される、王冠のチャクラ(サハスーラ)です。
頭頂部に存在し、全人格と人生の統合、霊的な覚醒を司ります。
霊的な目覚めや宇宙との一体感を求めるときにこのチャクラを通じて宇宙と繋がる瞑想をします。
第六チャクラとの違いは、第六チャクラは霊的なイメージを視覚化させるものですが、このチャクラはその描かれたものと自分自身を創る肉体と魂を一体化させるものです。
無限のものや神との一体化を促すので、巨大なパワーを体にもたらし、内面の平和、知恵を体と精神を通して一体化させるのです。
(参考URL: http://homepage.mac.com/makaula/chackras/chakrameditation.html)
空気は一番の薬
笑うヨガを実践する上でとても大切なのは呼吸法だと、ラメッシュ師は長年のヨガの経験からの心得を語ってくれました。
「空気は一番の薬なのです。ヨガをする時は特に呼吸に注意すること。落ち着いて鼻から空気を吸う事で、空気が脳に入り刺激して活性化させるんだ。そして口から息を吐き出すことによって体内の汚れや不純物、またストレスなどを吐き出す事が出来るんだ。」
脳を活性化させ、不純物を外に出すことで体はより良く動きますよね?
体の中の空気を司る肺をキレイにし、心臓の動きまで活性化出来ると、ラメッシュ師は語ります。
そして彼は、心臓病や呼吸不全などには酸素マスクを付るのではなく、自ら呼吸をすることを勧めるのです。
なぜならマスクを付けられる事によって、体は自ら呼吸をして自浄作用を行う事を忘れてしまうからです。
呼吸はとてもシンプルなもので、人間が母親の体から出て来てから死ぬまでずっと続けられるものです。
この簡単で人が生きて行く上での基本的な行為を心と体の洗浄の意味を込めてすることにより、健康に導く事が出来るのです。
そして、その呼吸法に更に笑う事を加えたのがこの笑うヨガで、普通のヨガより更に幅広い人々に効果があるのです。
笑うヨガをやってみた
ラメッシュ師のクラスはとっても活気に溢れていて、誰もが心から楽しめて病気なんて吹き飛ばせてしまいそうな程のエネルギーを感じられる場所でした。
ラメッシュ師と1対1でレクチャーをしてもらった筆者ですが、緊張の糸もすぐにほぐされ、見よう見まねで体を動かし心の底から笑い続けていました。
ラメッシュ師のクラスでは、体に負担のかかる無理なストレッチなどは行わないので、体が固い方や間接が弱い方でも大丈夫。汗をかくこともないし、終わった後にグッタリしてしまうようなエクササイズでは全くないです。
最初は人前でゲラゲラ笑うという行為が恥ずかしくて、クスクスと笑う程度しか出来なかった私ですが、次第に師匠と半ばダンスのような動きと「♪I’m happy, I’m relaxed♪」というかけ声に合わせて笑っているうちに楽しくなって来ました。
ずっと笑っているうちに顔の筋肉が緩くなり、自然と常に笑顔になり、体の内側からとても前向きなパワーが漲ってくるのを感じました。
無理なストレッチなどをしないのに、かけ声と軽い運動が笑いのエネルギーと交わって体がポカポカしてくるんです!体のパワーと心のパワーが一つになったのを感じました。ただただ笑うことがこんなに楽しかっただなんて!気持ちがどんどん軽くなり、普段のストレスが小さくなっていくような気がしました。
前述の、笑いを日々の生活に取り入れるということを師匠から教わり、レッスンのない日であっても自らの生活を笑いでいっぱいにし、幸せに健康になることを学びました。
ただただ楽しくなるだけではなくて、健康の元となる呼吸についても詳しく伺いました。
薬も無しに器官を洗浄して脳まで活性化させるなんて、と半信半疑だった私ですが、鼻から息を吸い口から吐き出すという行為を続けているだけで、体の底に沈んでいた重いストレスを吐き出して体を軽くすることが出来たような気がしました。体が軽くなると脳に入る新鮮な空気が脳を刺激し、活性化させるわけで、頭はクリアーになりました。
楽しむ+呼吸する。この二つをマスターし、体と精神、そして宇宙を繋ぎ健康になるのが、この笑うヨガなのです。
ラメッシュ師が他の笑うヨガの師匠たちよりカリスマ的な魅力があるのは、彼が愛情に満ちていて、目を合わせて呼吸しているだけで、こちらまで暖かく幸せになれるからだろうと、筆者は感じました。
笑うヨガの哲学
「幸せになる為には自分自身を愛さなきゃ。自分の体が嫌いだったり、病気を持っていたら、尚更愛情を与えてあげなきゃ。心臓病の心臓には優しく愛を込めて撫でて暖めてあげるんだ。そして語りかける。
“おーい、心臓。愛してるよー”とね。そうしているうちに体は心と外的なものと反応し合って、どんどん元気になっていくんだよ。」
確かに、「今日も私はキレイ」と鏡に向かって毎日語りかけていると、自信も湧いてくるし表情がイキイキしてきますよね?
「自らの体に愛情を与えることによって良くなるというなら、他の人にも同じ事をしてあげればいいのでしょうか?」
「もちろんだよ!自分を愛して他人を敬って謙虚でシンプルに生きる事。多くを望まず、自分が既に持っている幸せに気づかなきゃ。人はストレスにまみれた生活をしているから、そういう簡単なことにも気づかなくなってるんだ。その上、お金とか物に対する欲だけ大きくなって、愛情とかへの価値に気づかなくなってきてるんだ。
自分を愛し、他人を愛する。
そして周りの人もみんなを愛していけば、自然と世の中は愛情に満ちて平和になるはずだ。」
とラメッシュ師は笑うヨガが世の中と人間の愛情を繋ぐ素晴らしい鍵になることを教えてくれたのです。
笑うヨガ。
大勢が集まって周りも気にせず大笑いし合う。
そうしているうちにストレスも消えて体も軽くなる。
笑いとはとってもシンプルだけど、体に素晴らしい効果をもたらす一番の薬なのです。
健康な体に健康な心が宿るように、愛情で満ちた体や世界に平和が訪れるはずです。
これはただの健康法ではないのです。人間の心と体に栄養と愛情を与え、世の中まで洗浄して暖かくしてくれる、病んだ世の中に希望の光を差し込んでくれる、斬新だけどとてもシンプルな特効薬です。
このシンプルな方法がもっと世の中に広がれば、ガンジーが起こしたムーブメントの様に世の中を変えることだって可能なはずです。
ヨガとはやはり、体と心と全宇宙を繋ぐ精神的なエクササイズなのだと再確認したのでありました。
ロサンゼルスで毎日忙しく働いている皆さん!だまされたと思って、I'm happy,I'm relaxed〜!とダンスしてみては!?
取材協力:Universal Temple of Yoga and Inner Peace
http://www.universalyoga.org/
15317 Paramount Blvd. Suite 204
Paramount, CA 90723
(話:Guru Yogi Ramesh 文章:ライター西川あゆ)